ユース語り部が持つ心のケア「力」& 防災教育推進「力」向上事業 :「経験をつなぐ」語らいの場(高知)
Yahoo!基金の助成を受けた「ユース語り部が持つ心のケア「力」& 防災教育推進「力」向上事業」が2年目に入りました。
これから1年をかけて、「つなぐ」をコンセプトに、以下の「語らい」の場を開いていく予定です。
2022年
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11月 | 「経験をつなぐ」語らいの場 於 高知 |
2023年
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1月 | 「時間をつなぐ」語らいの場 於 神戸 |
3月 | 「場所をつなぐ」語らいの場 於 仙台 |
5月 | 「場所と経験と時間をつなぐ」語らいの場 於 東京 |
7月 | オンライン成果報告会 「ユース語りべの語りが持つ防災教育力と心のケア力を考える」 |
2022年11月15日(火曜日)、高知市立城西中学校で「経験をつなぐ」語らいの場を開きました。紺野堅太さんと阿部任さんが参加しました。
全校生を対象とした語りの会では、ふたりが被災体験を写真や図、マンガを使って説明し、そんなに遠くない未来に南海トラフ巨大地震と津波を体験する中学生たちに、どうやって生き延びるかを考えて欲しいとメッセージを送りました。
紺野さんは釜石市出身で、釜石東中学校1年生の時に被災しました。学校にいた中学生・小学生全員での避難は「奇跡」と呼ばれています。紺野さんも、1次避難場所の崖崩れが無かったら助からなかっただろう、だから奇跡だったと考えているそうです。とはいえ、全員避難につながった防災教育が生徒たちを救ったのは事実です。釜石東中学校での日頃の防災教育を紹介し、南海トラフ巨大地震への備えを徹底して欲しいと呼びかけました。
阿部さんは石巻市出身で被災当時は高校1年生。自宅で被災しました。祖母とふたりで大丈夫だろうと暢気に構えていたのですが、家は全壊して流され、家の中で9日間を過ごしました。冷蔵庫がドアを上にして倒れていたので、中の食料を取り出すことができました。夜は寒くて寝られなかったという過酷な9日間を経て、偶然開いた天井から外に出たところを発見・救助された体験を語りました。
予定の時間を少しオーバーして語りが続きましたが、中学生は前のめりになって聞き入っていました。実体験とそれをもとにしたメッセージが持つ力を感じとっていたようです。
放課後の語らいの場では希望者10人がふたりを囲んで質問や感想のやり取りを行いました。中学生たちはその時の様子をもっと知りたいと、いろいろな質問を投げかけました。また、自分が同じ状況に置かれたらどうしただろうと考える生徒もいました。聞くには少しはばかれる内容の質問、率直な回答など、語らいの場だからこそできるやり取りが行われました。
紺野さんの、「野球部だったけど、道具を流されて。全国の人から野球道具や応援メッセージをもらった。下向いて生きていくのは応援してくれた人に失礼だと思った。最初はなんでもいいやと思っていたが、そういう人たちに恩返ししたい、期待に応えたいという思いが出てきた」、阿部さんの「こんなことは二度と起きて欲しくない。自分の恥ずかしい体験は参考になる話では無いけど、そうならないように」といった率直な言葉が中学生たちにまっすぐ届ているようでした。